シフト作成と労働法|時間外労働・36協定・28時間ルールをどう扱っているか
シフト作成は、必要な人数を埋めれば終わりではありません。「この人を入れて大丈夫か」「この働き方は法律の範囲に収まっているか」「別の組み方なら負担を減らせないか」まで考える必要があります。KIBOKUMIは、こうした条件をあとから確認するのではなく、シフトを組む段階から組み込んでいます。この記事では、シフト作成に関係する主な労働法上の条件と、KIBOKUMIがそれらをどう扱っているかを紹介します。
シフト作成は「穴を埋める」だけでは終わらない
シフト作成でいちばん目に入るのは、「時間帯ごとに必要な人数が入っているか」です。ただ、それだけを追って表を埋めていくと、労働時間の上限を超えていた、休みが足りていなかった、特定の人に負担が寄っていた、という問題が後から見つかりがちです。
KIBOKUMIを作るとき、私たちは「シフトを自動で作る」だけでは不十分だと考えました。法律上の制限、店舗ごとのルール、従業員の希望を同時に扱わなければ、実際の店舗で使えるシフト作成にはならないからです。そこで、シフト作成に関係する条件を、シフトを組む仕組みそのものに組み込んでいます。
ひとつ、先に言っておきます。KIBOKUMIは「法律に適合しているかを最終判断するサービス」ではありません。法律上の条件や店舗が設定した条件をシフトの制約として扱い、超えないように組みます。
KIBOKUMIは条件に優先順位をつけてシフトを組む
KIBOKUMIでは、店長が法律・希望・必要な人数・連勤・深夜などを一つずつ確認しながらシフトを組むのではなく、それらを条件としてまとめて考え、まず案を作ります。店長は、できあがった案と理由を確認し、必要なところだけを手で直します。作るのは自動、決めるのは店長です。
KIBOKUMIでは、すべての条件を同じ重さでは扱いません。まず守るべき条件を満たし、その範囲の中で、次の順にできるだけ満たします。
- 守るべき条件——法令で決まった上限、店舗が決めた上限、従業員の勤務可能時間。これらは絶対に超えません。
- 必要な人数——時間帯ごとに、できるだけ確保します。
- 希望——できれば入りたい日、避けたい日を、できるだけ満たします。
- 負担の偏り——出勤日数や時間帯の負担が、特定の人に寄らないようにします。
- 割増賃金・人件費——ここまでの条件を満たす中で、できるだけ抑えます。
シフト作成で関わる主な法律の条件
まず、シフト作成で関わってくる主な法律の条件を整理します。
- 労働時間の上限——原則は1日8時間・1週40時間。これを超える労働が、標準的な働き方では法定時間外労働になります。
- 36協定——時間外労働や法定休日の労働をさせる場合に必要で、させてよい上限があります。
- 休日——1週間につき、少なくとも1日。
- 休憩——労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上。
- 深夜業——22時〜5時。割増賃金がつき、18歳未満はできません。
- 年少者——18歳未満は、深夜業のほかに時間外労働・法定休日の労働もできません。
- 28時間ルール(資格外活動許可)——留学生などは、どの7日間でも28時間以内。
- 産前産後・育児・介護による勤務の制限——請求があると、深夜業などをさせられないことがあります。
- 社会保険の壁——本人が収入の上限を決めて働きたいと希望することがあります。
ここからは、とくに質問の多いもの——時間外労働と36協定、28時間ルール——を順に見ていきます。
時間外労働と36協定
KIBOKUMIは、変形労働時間制やフレックスタイム制などを利用していない、標準的な1日8時間・1週40時間制を前提としています。この前提では、1日8時間・1週40時間を超える労働を法定時間外労働として扱います。(こうした特殊な働き方では時間外の数え方が変わるため、KIBOKUMIの対象外です。)
法定時間外労働をさせるには、あらかじめ36協定を結び、労働基準監督署に届け出ておく必要があります。協定には、させてよい時間外労働の上限(1日・1か月・1年)を定めます。つまり、8時間・40時間を超えてもよいのは、36協定があってはじめてです。
KIBOKUMIでは、これにあわせて36協定の設定がなければ時間外労働を計画しません。上限を0として扱う、安全側の既定です。分からないものを「たぶん大丈夫」として扱わない、という設計方針です。店舗が協定の内容(上限)を設定した場合に限り、その範囲内で時間外を組みます。
36協定でKIBOKUMIが扱う上限
設定では、協定に書かれた数字をそのまま登録します。起算日と、1日・1か月・1年の時間外、45時間を超える月数(特別条項がある場合)、法定休日の労働日数です。
これとは別に、36協定に何を書いても超えられない上限があります。こちらは法律で決まっているもので、KIBOKUMIが常に守ります。
1か月・2〜6か月平均の上限は、時間外労働と休日労働を合算して数えます。原則として、時間外労働は月45時間・年360時間が上限で、これを超える場合は特別条項付きの36協定が必要です。KIBOKUMIは、この常に効く上限も、協定に書かれた上限も、どちらも守ります。上限に近づいた状態で割り当てを追加しようとすると、その理由を数字とともに表示します。
28時間ルール(資格外活動許可)
ここはシフト作成でとくに間違えやすいポイントです。留学生や家族滞在の在留資格で働く人の資格外活動許可には、「1週間で28時間以内」という制限がありますが、この「1週間」は日曜〜土曜のような区切りではありません。どの連続した7日間を取っても、28時間以内という意味です。月末と月初にまたがって働くと、それぞれの区切りでは収まっていても、7日間で見ると超えてしまうことがあります。
KIBOKUMIでは、該当する従業員に「資格外活動許可(週28時間以内)」の設定をすると、この制限を全店舗を通して守るように組みます。人の制限なので、複数店舗で働いている場合は合算します。
なお、KIBOKUMIが把握できるのはKIBOKUMI上の勤務だけです。他社やサービス外での勤務時間までは見えません。また、学校の長期休業中の「1日8時間以内」の扱いまではモデル化していないため、制限は常に「7日間で28時間以内」として厳しめに扱います。
年少者と、産前産後・育児・介護による勤務の制限
18歳未満の従業員には、大人とは異なる制限があります。深夜業(22時〜5時)ができず、時間外労働もできず(1日8時間・1週40時間を超えられない)、法定休日にも働けません。従業員の18歳の誕生日を登録すると、18歳になるまでは年少者として扱い、日付で切り替わります。
産前産後や、育児・介護をしながら働く従業員には、請求に応じて、深夜業・時間外労働・休日労働のいずれかを制限する決まりがあります。KIBOKUMIでは、その制限を「その従業員に何をさせないか」という効果として登録します。理由(妊娠中、育児のため、介護のため、など)は入力も保存もしません。シフト作成に必要なのは「何を制限するか」であって「なぜ制限するのか」ではないからです。制限には期間を設定し、過ぎれば自動的に効かなくなります。この請求が法律上認められるかどうかの判断は店舗の側にあり、KIBOKUMIは登録された効果をそのまま守ります。
休日・休憩・連続勤務
休みについては、法律上、1週間につき少なくとも1日の休日(または4週間につき4日以上の休日)が必要です。KIBOKUMIでは、標準的で保守的な扱いとして、毎週1日の休日を確保する形——1週間に勤務できる日を6日まで——で組みます(4週4休の変形は対象外です)。あわせて、店舗が「法定休日」とする曜日を登録すると、その曜日の扱い(年少者の休日労働の禁止、割増の対象)に反映します。法定休日は祝日とは別で、どの曜日にするかは就業規則で定めるものなので、KIBOKUMIは推測せず、店舗に確認して登録していただきます。
休憩にも決まりがあります。労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上です。KIBOKUMIでは、シフトの勤務時間を決めるときに休憩時間をあわせて登録し、この条件を満たさないままでは保存できないようにしています。
「連続勤務」も見逃せません。週の休日のルールは週の区切り(たとえば日曜〜土曜)で数えるため、区切りをまたぐと6日ずつでも12日続くことがあります。そこで連続して勤務できる日の上限を扱います。店舗が定める上限は守るべき条件として必ず守り、従業員本人が決めた上限は「できるだけ守る希望」として扱います。詳しくはシフトの連勤を減らす方法でまとめています。
守るべき条件を満たしたうえで、より良いシフトを探す
ここまでは、守るべき条件の話でした。KIBOKUMIは、守るべき条件と必要な人数を満たしたうえで、時間外・深夜・休日労働などの負担もできるだけ減らします。従業員の負担を減らし、結果として割増賃金による人件費の増加も抑えられるからです。
働く時間によっては、次の割増賃金がかかります。
深夜の時間外のように種類が重なると、割増は加算されます(25%+25%で50%)。KIBOKUMIは、こうした割増も含めて「その割り当てがどのくらいのコストになるか」を内部で見積もり、条件を満たす組み方のうち、時間外・深夜・休日の負担がより少ない形を選びます。
これは給与計算ではありません。金額を表示したり、誰かの給与を計算したりするものではなく、「2つの組み方のどちらが負担の少ない形か」を比べるための内部の信号です。人件費の考え方はシフト作成で人件費を抑える方法で説明しています。
働きすぎや負担の偏りを減らすための工夫
上限の内側でも、組み方によって負担は変わります。KIBOKUMIは、守るべき条件を満たしたうえで、次のような希望や偏りをできるだけ考慮します。
- 希望——できれば入りたい日、避けたい日。強く希望するものから優先します。
- 勤務間のインターバル——前日の退勤から翌日の出勤までの間隔。店舗が目安の時間数を決めておくと、その間隔を空けるように組みます。
- 連続勤務——本人が決めた上限を、できるだけ守ります。
- 1日の勤務時間——長すぎる1日にならないよう、目安の時間を置きます。
- 負担の偏り——出勤日数、労働時間、土日、開店・閉店の担当などが、特定の人に寄らないようにします。
いずれも、守るべき条件を満たしたうえで考慮します。偏りを減らす考え方はシフトを公平に組む方法もあわせてご覧ください。
「なぜ入れられないのか」まで分かるシフト
自動で作るだけでは、「なぜこの人を入れられないのか」が分からなくなることがあります。KIBOKUMIでは、その理由も表示します。
- 入れられないときは理由を表示します(例:「18歳未満のため22時〜5時は働けません」「28時間(7日間)の上限を超えます」「このシフトを追加すると、設定された時間外労働の上限を超えます」)。
- 人数が足りないときは、誰が入れないのか、どの条件で埋まらないのかを示します。「N人不足」だけで終わらせません。
「上限を超えます」という言い方にしているのは、KIBOKUMIが法律違反かどうかを判定しているわけではないからです。表示するのは、店舗が設定した、あるいは法律で決まったシフト上の境界です。最終的には店長が確認して決めます。
KIBOKUMIができること・できないこと
労働法に関わる機能だからこそ、「できること」と「できないこと」を明確にしておきます。
- 勤務実績は扱いません。KIBOKUMIが組み、確認するのは計画としてのシフトです。実際に何時間働いたか、打刻やタイムカードの記録は対象外で、実際の労働時間の把握は事業者の責任です。
- 給与計算や割増賃金の支払いは行いません。割増はシフトの形を選ぶための内部的な見積もりに使うだけで、支払う金額を計算・表示するものではありません。
- 36協定の締結・届出は行いません。KIBOKUMIは、店舗が入力した上限にもとづいて組むだけで、協定の有効性を確認するものではありません。
- 時間外の「測り方」が特殊な働き方は対象外です。管理監督者、裁量労働制、変形労働時間制、フレックスタイム制では、時間外の数え方が異なります。KIBOKUMIは標準的な8時間・40時間制を前提にしています。
- KIBOKUMIの外での勤務は見えません。他の会社や別のサービスで働いている時間は、28時間ルールなどに反映されません。
まとめ
シフト作成では、時間外労働や36協定、28時間ルール、休日・休憩、年少者の制限など、多くの条件を同時に踏まえる必要があります。これらを一つずつ手で確認しながら組むのは、現実的ではありません。
KIBOKUMIは、そうした条件をまとめて考え、まず案を作ります。法令や店舗が定めた守るべき条件を先に満たし、そのうえで希望をできるだけ満たし、負担の偏りと時間外・深夜・休日の負担を考慮します。店長は、できあがった案と理由を確認し、必要なところだけを手で直せます。作るのは自動、決めるのは店長です。
仕組みはシフト自動作成とはで、運用全体はアルバイト・パートのシフト管理で解説しています。作成にかかる時間は店長のシフト作成時間を減らす方法、負担の偏りはシフトを公平に組む方法もあわせてご覧ください。
今の組み方にどのくらい余地があるかは、実際の条件で試してみるのがいちばん確かです。
KIBOKUMIを無料で試す※本記事は、労働法に関する一般的な説明と、KIBOKUMIがシフト作成で扱っている条件をまとめたものです。法的助言ではありません。個別の状況における法令の解釈や、36協定の締結・届出、勤怠の記録、割増賃金の支払いなどは、事業者の責任で行ってください。判断に迷う場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家にご確認ください。KIBOKUMIは、シフトの自動作成を支援するサービスであり、給与計算や勤怠管理を行うものではありません。