シフト作成で人件費を抑える方法|同じ勤務時間でも「誰が働くか」でコストは変わる
「必要な人数が入っているか」「出勤できる人が入っているか」「勤務時間に偏りがないか」——シフトを組むとき、まず確認するのはこのあたりです。ただ、同じ勤務時間のまま、誰にその時間を任せるかで、人件費は変わり得ます。この記事では、なぜ同じ勤務時間でもコストに差が出るのか、差が出る場合と出ない場合、そして「安ければよい」わけではない理由までを、実際に条件を変えて試した結果をまじえてまとめます。
同じ人数・同じ勤務時間でも、人件費は変わることがある
同じ人数で、同じ勤務時間のシフトを組んだとしても、人件費が変わることがあります。なぜでしょうか。
シフトを組むとき、まずは次のような条件を満たすことを目指します。
- 時間帯ごとに必要な人数を満たしている
- 従業員の勤務可能時間の範囲で配置している
- 勤務時間の上限を守っている
- その時間帯に必要な役割や資格の人が入っている
ここまでできていれば、シフトとしては「正しく組めている」ように見えます。それでも、同じ仕事を、同じ勤務時間のまま別の人に割り当て替えるだけで、人件費が変わる部分があります。
手で組んだ表は見た目が整っていても、「この同じシフトを、別の組み方にしたらどうなるか」を比べることは、ふだんはしません。だから差は「間違い」として表に出ず、人件費が少し高いままになりがちです。人件費は店舗で大きな割合を占める費用なので、数%の違いでも、積み重なると無視できない大きさになります。
誰を入れるかで、1時間のコストが変わる
人件費のもとになるのは、時給と、働いた時間、そして割増賃金です。必要な人数で決まる総労働時間が変わらないなら、残るのは 誰にその時間を割り当てるかです。
たとえば、同じ時間帯の同じ作業を、次の4人のだれが担うかで金額は変わりますか。
4人ともその時間に勤務でき、必要な役割を満たしているなら、1時間にかかる人件費は誰を置くかで変わります。ここで大切なのは「安い人を優先する」という単純な話ではなく、 条件を満たす人の中で、どの組み合わせにすると人件費が最も抑えられるかという視点です。
同じ人数を配置できても、誰を選ぶかでコストが変わる——これは、シフト作成を自動化するなかで、私たちが改めて意識するようになった部分でした。
人が手で見比べるには、条件が多すぎる
割り当てを決めるとき、店長は多くの条件を同時に見ています。
- 勤務可能時間(出られる時間)
- 時間帯ごとに必要な人数
- 役割・資格
- 勤務時間の上限
- 希望(できれば入りたい日・避けたい日)
- 休日のルール
- 割増賃金がつく時間帯
「誰がその時間に出られるか」は、表を見れば判断できます。一方で「出られる人の中で、いまこの時間を任せると人件費が最も抑えられるのは誰か」を、数十人・数十シフト分まとめて見比べるのは、人が一つひとつ確認するには条件が多すぎます。時給の一覧は、割り当てを進めている最中に目の前にあるとは限りません。
そのため、条件を満たして空きを埋め切ったところで手が止まりやすくなります。条件を満たす組み方は、埋め切ったその1つだけではありません。
実際に試してみた
そこで私たちは、同じ勤務時間のまま条件を変えて、実際に試してみました。比較の基準は、手抜きではなく、必要な人数・勤務可能時間・上限・休日・希望を満たすように丁寧に手で組んだシフトです。
いちばん分かりやすいのは、全員の時給を同じにした場合です。このときは、手で組んだ場合もKIBOKUMIで組んだ場合も、人件費はまったく同じになりました(差0%)。総労働時間が同じで時給も同じなら、誰に割り当てても金額は変わらないからです。もしここで差が出るなら、勤務時間そのものが変わっていることになります。
では、時給が違うとどうなるか。検証した条件では、時給差や人員の余裕などによって、差はおおむね次の範囲になりました。
(数値は、丁寧に手で組んだシフトと比べて、KIBOKUMIで組んだほうが人件費を抑えられた幅です。それぞれ異なる検証条件での結果であり、同じ店舗の条件を段階的に変えたときの予測値ではありません。)
ここで大切なのは、KIBOKUMIを使えば必ず何%下がる、という話ではないということです。同じ勤務時間でも、誰に割り当てるかによって人件費に差が生まれる余地がある——私たちが確かめたかったのは、この点です。
時給に差があるほど、割り当て方による差が出やすくなります。この差は、魔法のような割引ではなく、同じ勤務時間を、条件を満たす範囲で、より人件費の少ない組み合わせに割り当てることで生まれています。
ただし、時給のばらつきだけで決まるわけではありません。同じ勤務時間でも、 誰をどのシフトに割り当てられるかの選択肢が多いほど、差が出る余地が大きくなります。逆に、時給差が大きくても、入れられる人が限られていれば差は小さくなります。人が多いほど差が出るわけでもなく、人員に余裕がある条件では、手で組んでも偏りなく配分しやすいため、差は小さくなりました(上の表の3行目)。
私たちの検証では、希望(入りたい日)によって割り当ての選択肢が絞られるケースでも、人件費の差は小さくなりました。希望は「誰がそのシフトに入るか」を絞り込むため、割り当ての余地が減るからです。
ただ安くすればいい、わけではない
ここで、検証で分かったもう一つの結果を紹介します。人件費だけを目的にして組むと、KIBOKUMIよりさらに安いシフトを作れるケースがありました。では、なぜKIBOKUMIはそれをしないのか。
理由は、実際の店舗運営では人件費だけを見てシフトを決めることができないからです。時給の安いいくつかの人に勤務を集めれば、数字の上ではもっと安くできますが、希望をほとんど反映せず、特定の人に負担が集中します。私たちの検証でも、人件費だけを優先して組んだ場合、希望の未達を示す値は2〜4倍になりました。
特定の人に勤務が集中すれば、スタッフ側の負担や不満につながる可能性があります。採用や教育には手間と費用がかかるため、目の前の人件費だけを小さくすればよいとは限りません。目の前の支払いだけを見て削ることが、かえって高くつく場合があるのです。
だからKIBOKUMIは、いちばん安いシフトを作ろうとはしません。その代わりに何を優先しているのかは、後半の「優先順位」で説明します。
割増賃金まで考えると、さらに単純ではない
人件費は、時給×時間だけで決まるものではありません。働き方によって、次のような割増賃金が加わります。
- 時間外労働に対する割増賃金
- 深夜労働(22時〜5時)
- 法定休日労働
- 月60時間を超える時間外労働
たとえば、午前のシフトと夕方のシフトを同じ人に続けて入れると、その日の労働時間が長くなり、時間外の割増がつくことがあります。人を分ければ、この割増は発生しません。「安い人にまとめて入れる」ほうがよいとは、単純には言えないのです。
人件費の見積もりとしては、安い人の残業のほうが、時給の高い人の通常時間より安くつく場合もあります。たとえば、時給1,100円の人に25%の割増がつくと1時間あたり1,375円です。一方、時給1,500円の人の通常時間は1時間あたり1,500円なので、この場合は安い人に少し残業してもらうほうが安くつきます。だから、割り当ての良し悪しは「時給の安さ」だけでは決まりません。
ただしKIBOKUMIでは、割増が発生する場合も含めて人件費を見積もったうえで、労働時間の上限や休日のルールを人件費より優先します。そのため、目の前の人件費を下げるために、設定した労働時間の上限を超えるような割り当てを選ぶことはありません。
安くても、そのまま使えないシフトでは意味がない
人件費を抑えても、法律や店舗側で設定した勤務条件を満たしていないシフトなら、そのまま使うことはできません。
私たちの検証でも、条件を後回しにして組み上げたシフトは、1日の労働時間の上限を超えていました。KIBOKUMIにそのまま当てはめると、そのシフトは採用できない(解なし)と判定されます。「安い」だけでは、良いシフトにはなりません。
そこでKIBOKUMIは、割り当てを考える前に、勤務可能時間や労働時間の上限、休日といった守るべき条件を先に満たすように組ませます。条件を満たさない案は、人件費が安くても選びません。
だからKIBOKUMIでは、人件費を最後に考える
では、KIBOKUMIは何を優先しているのか。私たちは、シフトを「安くする問題」ではなく、 複数の条件を同時に満たす問題として考えています。優先する順番は、次のとおりです。
- 守るべき条件——勤務可能時間、労働時間の上限、休日のルールなど
- 設定した必要人数——時間帯ごとに確保したい人数
- 希望——できれば入りたい日、避けたい日(強く希望するものから優先します)
- 偏り——出勤日数や時間帯の負担が特定の人に寄らないこと
- 人件費——ここまでの範囲の中で、人件費の少ない割り当てを選ぶ
人件費はこの順番の最後にあります。守るべき条件を満たしながら、希望をできるだけ満たし、偏りも考慮したうえで、その中で人件費の少ない割り当てを選ぶという考え方です。だからKIBOKUMIが作るのは「もっとも安いシフト」ではなく、「必要な条件を満たしたうえで、人件費も考慮したシフト」です。
シフトを作る時間も、コスト
人件費を考えるとき、忘れがちなのがシフトを作る人の時間です。店長が毎週まとまった時間をシフト作成に使っているなら、その時間も人件費の一部です。作成そのものを短くできれば、それだけ別の仕事に使える時間が増えます。
KIBOKUMIは、希望の集計と割り当てを自動化します。従業員はLINEから勤務可能時間と希望を送信し、その内容と必要な人数をもとにシフトを組み上げます。店長は、できあがった案と配置の理由を確認し、必要な箇所だけを手で直す作業に集中できます。作るのは自動、決めるのは店長です。
作成にかかる時間を短くする考え方は、店長のシフト作成時間を減らす方法でまとめています。
小さな割合でも、金額としては無視できない
人件費の話で大切なのは、削減率の大きさそのものではありません。たとえば、年間の人件費が1,000万円の店舗なら1%でも10万円、3,000万円なら30万円になります。すでに必要としている勤務時間を、誰に割り当てるかを変えるだけで、年間では無視できない金額になり得ます。
もちろん、実際にどの程度の差が出るかは店舗によって変わり、今回の検証結果も、すべての店舗で同じ削減率が出ることを示すものではありません。それでも、同じ勤務時間での割り当てを少し見直すだけで差が生まれる余地がある、という点は押さえておく価値があります。
さらに、シフト作成にかかっていた店長の時間も減らせれば、人件費そのものとは別に、その分の余力が生まれます。人件費の差と、作成にかかる時間。この2つを合わせて考えると、シフトの組み方を見直す意味が見えてくると思います。
まとめ
同じ勤務時間のシフトでも、誰にどの時間を割り当てるかで人件費は変わり得ます。ただし、差が出るかどうかは、時給のばらつきと、割り当ての選択肢の多さの両方で変わります。そしてKIBOKUMIは、安さだけを追うのではなく、守るべき条件と希望、偏りを先に満たしたうえで、人件費を見ています。人件費を考慮することと、働きやすいシフトを目指すことは、両立できます。
仕組みはシフト自動作成とはで、運用全体はアルバイト・パートのシフト管理で解説しています。急な欠員への備えは人手不足のときのシフトの組み方、負担の偏りはシフトを公平に組む方法もあわせてご覧ください。
今の組み方にどのくらい余地があるかは、実際の条件で試してみるのがいちばん確かです。
KIBOKUMIを無料で試す※本記事に掲載している数値は、KIBOKUMIの検証用に作成した条件での試算です。実際の差は、時給・人数・勤務条件・必要な人数・希望の有無などによって変わり、これらの検証結果は、KIBOKUMIを利用した店舗で同じ削減率が得られることを示すものではありません。金額はすべて比較用の計算値であり、給与計算の結果ではありません。KIBOKUMIの目的は、人件費だけを削減することではなく、店舗ごとの条件を満たしたうえで、より無駄の少ない割り当てを考えることです。KIBOKUMIは給与計算を行うサービスではなく、シフト作成を支援するサービスです。