扶養内パートのシフトの組み方|年収の壁をシフトにどう反映するか
「扶養内で働きたい」という希望は、シフトを組むうえで無視できない条件です。ただし、扶養の壁は年収の話で、シフト表が決めるのは日々・週ごとの勤務時間です。2026年の制度変更をふまえ、年収のめやすをシフトにどう落とし込むかを整理します。
扶養内のシフトで難しいのは、金額を時間に変えるところ
「扶養内で働きたい」「この金額までにしたい」——従業員から届く希望は、年収の話であることが多いです。一方、シフト表で決めるのは、どの日に何時間働くかです。この2つは同じものではないので、そのままではシフトに反映できません。
年間の収入は、日々の勤務時間が積み重なって決まります。繁忙週に多く入ったり、穴埋めを頼んだりして、気づいたときには想定より早く上限に近づいている、ということが起こります。
しかも、ひと口に「扶養内」といっても、税の扶養を意識しているのか、社会保険の扶養を意識しているのか、家族のなかで決めた金額なのかで、見るべき条件が違います。まずそこを確認しないと、シフトの条件も決まりません。
まず、何を上限にするかを本人と確認する
店長が金額を決めるのではなく、本人と確認します。「扶養内で」とだけ聞くより、次の3つを聞くほうがシフトに反映しやすくなります。
- どの上限を意識しているか(税、社会保険、家族のなかの目安など)
- その上限を、年間・月・週のどれで見ておきたいか
- どのくらい余裕を残したいか
確認した内容は、従業員ごとの条件として記録しておきます。担当者が変わっても、同じ前提で組めます。
扶養に入れるかどうかの判定は、勤務先・加入する保険・家族の状況で変わります。金額や条件も制度改正で変わるため、最終的な確認は本人と勤務先・公的機関で行います。
2026年の制度変更で、前提が変わっている
ここは、この記事を書いている2026年10月時点の情報です。税の扶養と社会保険の扶養で、それぞれ変更がありました。
税の扶養:給与収入123万円が一つの目安に
令和8年度税制改正で、給与所得控除の最低保障額が65万円に、基礎控除が58万円に引き上げられました。扶養親族や同一生計配偶者については、給与収入だけなら123万円以下が一つの目安です(令和8年分以後)。103万円は以前の基準です。
社会保険:106万円の前提だった賃金要件が撤廃
これまで106万円という金額がよく言われましたが、その前提だった賃金要件(所定内賃金が月8.8万円以上)は、2026年10月1日に撤廃されました。現在は、週の所定労働時間が20時間以上、勤務先の厚生年金保険の被保険者数が51人以上、学生ではないことなど、複数の条件を満たすと加入対象になります。金額だけでは判断できません。企業規模の要件は2027年10月から36人以上に拡大され、その後も段階的に拡大される予定です。
130万円は、社会保険の扶養に入れるかどうかを判断する際の目安として、引き続き使われています。ただし、対象になるかどうかは個別の条件で決まります。
金額を暗記するより、いま自分が守りたい条件を本人と確認するほうが確実です。制度の詳細は、次の公的資料で確認できます。
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」
年収のめやすを、月・週の勤務時間に戻す
上限が確認できたら、シフト表で使える単位に戻します。シフトから年収を見積もるときは、単純化すると時給 × 1週間の勤務時間 × 52週で計算できます。
たとえば、本人が年間123万円を一つの目安としている場合、月あたり約10.3万円、時給1,050円なら月に約98時間、週に約22〜23時間がシフト管理上の目安になります。これは税・保険の判定そのものではありません。有給や割増賃金、時給の変更、月ごとの勤務時間のちがいは含まないので、上限ぎりぎりではなく余裕を残して組みます。
社会保険については、収入額だけでなく、週の所定労働時間や勤務先の条件なども確認する必要があります。シフトを組むときは、年間のめやすを月・週の勤務時間に分けておくと、調整しやすくなります。
手元で確かめたいときは、無料の扶養の壁チェッカーも使えます。2026年10月時点の金額と、106万円の扱いもそちらで説明しています。
追加勤務・穴埋めで崩さない
穴埋めを頼むときは、「空いているか」だけでなく、「上限に余裕があるか」を見ます。月の収入上限だけでなく、週の勤務時間も確認します。片方だけを見ていると、もう片方を超えてしまうことがあります。
毎週の勤務時間をぎりぎりまで埋めず、穴埋めや追加勤務に使える余白を残しておくことも大切です。扶養の上限に近づいている人に、急な欠勤のたびに追加勤務を頼んでいると、想定より早く上限に届いてしまいます。
月に一度は、その月の勤務実績と今後の見込みを確認します。シフトはあくまで計画で、実際の支給額は勤怠によって決まるため、上限に近づいている場合は早めに調整します。
扶養の上限に近づいたため勤務を減らす、といった変更は、理由とあわせて早めに伝えます。誰がいつ何を決めたかを記録しておくと、次の見直しにも使えます。
KIBOKUMIでできること
KIBOKUMIでは、従業員ごとにシフト作成上の月の収入上限を設定できます。追加勤務や複数店舗での勤務も含めた月の収入が上限を超える場合は、自動作成ではその従業員を割り当てません。手動で追加しようとした場合も、「月の収入の上限を超えます」と表示されて選べません。
勤務可能時間・希望・必要人数・週の勤務時間の上限・連勤などを条件に、シフト案を作成します。守るべき条件を満たしたうえで、希望も優先順位に沿ってできるだけ反映します。満たせなかった希望や人員の不足も、画面で確認できます。
作るのは自動、決めるのは店長です。
月の収入上限は、本人が決めた金額を条件として扱うもので、扶養の判定や税・保険の計算をするものではありません。金額や条件は制度改正で変わるため、実際の判定は勤務先・公的機関でご確認ください。
仕組みはシフト自動作成とはで解説しています。1事業所・従業員10名まで無料でお使いいただけます。
まとめ
扶養内のシフトは、制度の金額を暗記するのではなく、本人が守りたい上限を確認し、月・週の勤務時間に戻して条件にします。2026年は税・社会保険の前提が変わっているので、最新の条件を確認してください。余白を残し、追加勤務の前にも上限を確認しておけば、後からシフトを大きく組み直す場面を減らせます。
KIBOKUMIは、従業員の希望と勤務可能時間、店舗の必要人数、月の収入上限などの条件をもとに、シフト案を作成します。実際の店舗の条件を入れて、どのようなシフトになるか試してみてください。
登録なしで試す※本記事は、扶養内で働くときのシフトの考え方を整理したものであり、税・社会保険の判断をするものではありません。扶養の範囲や金額は、制度改正や個別の状況で変わります。実際の取扱いは、勤務先・公的機関などにご確認ください。